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- 1. 誠実たれ
誠実とは、自分の原則に忠実に従うことに他ならない。
誠の真心を持ち、素直に自他に向かい、筋を通して生き抜くことこそ、己にとっても、また他人にとっても真の誠実とよべるものである。
他の何者にも惑わされてはならない。人の言う言葉に迷い、悩み、従うのは不実である。軟弱である。
八方美人にしても何の役にも立ちはしない。ただ己の筋を通せ。
- 2. 己の心身と志をまもれ
身体を健やかに保つこと、心を豊かにすること、志を打ち立て、日々努めること。この三つこそは、最も重い掟であり、生き抜く中において、これより重い掟はありえない。
この原則を蔑ろにして人は何事も為すことはできぬ。一時の無理が、身を滅ぼし、ひいては友を失うだろう。己も守れぬ者に何ができようか。この問、よくよく心に刻むべし。
- 3. 鍛錬が己をつくる
「人柄」「人格」は一日でできるものじゃない。ただ常日頃の鍛錬が作るものである。鍛錬とは数年単位、数十年単位の稽古のことである。
そうした鍛錬が習慣となり人柄となり人格となるのである。
「やるべきことは何か、それに取り組んでいるか、なぜ取り組んでいないのか」と日々問い、日々、積み重ねよ。よい習慣を身に付けること以外に成長はできぬ。裸になった時、身についている習慣以外に頼れるものはない。
また悪癖は身に付きやすいものである。よくよく気をつけねばならない。
- 4. 姿勢をただせ
姿勢は全ての礎と心得よ。身構えだけではない。気構え、心構え、全てを正せ。
万物は天地より始まる。天地を感じることが全ての基本となる。天地の間の己の小ささを感じつつ、ひたすら前へ進むべし。
何なら一度、苦手な人と話す時に胸を張って、顎を引いてみろ。自然に声も肚から響くだろう。そうすりゃ、相手の反応が変わるものである。人間とは所詮この程度のことで損したり得したりする程度の動物である。よくよく吟味あるべし。
- 5. 食事に気をつかえ
食に感謝して食え。「俺の金で買ったんだ」などと奢るなかれ。あとでキツいシッペ返しが待っている。
粗食と節食に努めよ。むやみに煙草や酒はのむな。
美食、大食、麻痺物の快楽は身体を犠牲にするほどのものではない。食に汚ない人間は大成できぬと心得よ。
また箸の上げ下げは育ちを見る格好の機会である。食事の作法が出来ぬ人には時間や約束を守らない人が多い。
- 6. 精神を豊かにしろ
瞑想、禅をしろ。神仏を信じないでもいいが、敬え。文芸、芸術に時間をさけ。偉大な人物に学べ。
ただそういう事は人に押し付けるな。キモいぞ(私)。
いざという時に、精神の豊かさが己を助けるものである。本業以外に一つか二つはプロレベルの芸事をやれば相乗効果が生まれる。
- 7. 時間の主たれ
志を立て、予定を決め、日々を記録せよ。そして定期的に反省せよ。
特に物の貸し借り、金銭の出納、日々の行動の記録は大切である。これができないと遅かれ早かれ混乱が訪ずれるものである。
まとまった反省の時間をしっかり取れば、後の時間は目の前のことに専念できる。記録と反省は時間の節約になると思い、日々励むべし。
言うまでもないが、人を待たす人間は論外である。余裕を持って行動し、待ち合わせ場所で本でも読めばよい。目上の人を待たせたら、まず話にならないと心得よ(また、そういう「目上の人」(=成功している人)は驚くほど時間より早めに来るものであり、万が一にも、絶対、遅れない行動をする。私の経験上、ギリギリに来るような「目上の人」は存在しない)。
- 8. 迷うな、迷ったら休め
人の頭は気づいたり、閃いたりするためにある。迷ったり、悩んだり、探したり、思い出すことは、大の苦手と諦めよ。強制した頭脳の使い方の中で、やる気は失われるものである。この悪循環は誠に愚かである。
馬鹿の考え休むに似たり。調子が悪ければ、いくら悩んだって答は出ないし、探したって出てはこない。迷うってのは疲れてるんだからおとなしく休め。
答はひょんな時に出てくるものである。これは真理である。
- 9. 言葉は言葉、人は人
「正しい」「常識」「普通」などはただの言葉である。従う必要はない。ただ己の本心に誠実であればよい。必ず報われる。
「正しく生きよう」と苦しむのは本末転倒である。大切なのは己であり、言葉は言葉、他人は他人に過ぎぬ。心ない人の言葉は耳に入れない、頭に入れないこと。本当に自分のことを思ってくれている人は変なことなんて言わないものである。行動で示すのみ。
また、人の話に変な評価・質問・助言・解釈などするな。ただ聞き捨てて行動で示せ。
- 10. 返事と挨拶は大切にしろ
出会いと別れ、出入り、感謝と謝罪、謙遜と祝福、食事の挨拶、返事はしっかりやれ。若いと恥ずかしいかもしれないが、少々演技臭くても構わない。やればコツが分かる。とにかく誰にでもきちんと挨拶しろ。そして、それだけやって黙ってろ。絶対に無駄口は叩くな。
顔は晴れ晴れとしていろ。たとえ詫びる時でも真剣に詫びながら、晴れ晴れとした表情でいるべきである。誰も人の「深刻」な曇った顔なんて見たくない。「深刻」と「真剣」は似ているようで結構違うものである。また、変な顔をしてたら更に怒りたくもなるものである。人は往々にして「悲しみや反省の表情」と「嫌悪やふてくされの表情」を間違えるものである(これは対人心理学の実験による統計的な事実である)。
そもそも「お詫び」が出来る場面なんてのは、自分のとっては深刻かもしれないが、相手にしたら深刻な場面でも何でもない。「困った顔」をしている暇があれば、詫びる中で、相手を気持ち良くさせることが大切と心得よ。相手は困らせたいのではなく、自分を気持ち良くしたいだけなのである。
お詫びの言葉もできないで、言い訳をする奴は最低である。小さなことでも、まず詫びろ。言い訳なんて絶対に吐くな。相手が言い訳を尋ねてくれた時にのみ、感謝して言い訳をしろ。誰も言い訳なんて聞きたくもない。迷惑掛けられた上「そりゃ大変だったね」「それじゃ仕方ないね」なんて言いたい人はいない。
周りに「不思議と怒られにくい人」「かわいがられる人」がいたらよく見てみろ。きちんと挨拶が身についている。
余裕があれば御辞儀、頭の下げ方も吟味すると良い。対人関係ではあれこれ悩むより、挨拶と返事、姿勢と声や表情、人を待たせないなどの基礎を徹底させる方が費用対効果が大きい。