ストレスから開放するための、有力な答の一つは「休日を休日として楽しむ」ことです。しかし、それは慣れないうちは難しいかもしれません。もちろん、お金も何もかかりません。ただ、少しだけ覚悟と準備が必要なだけです。
せわしなく複雑な日常から、スローでシンプルな休日に切り替える
ストレスから開放されるにはどうしたらよいでしょうか。一つの答は苦しめているものから離れることです。休日であれば自由にストレスの原因から離れることができるはずです。
そのためには思い切って日常から離れることが大切です。とはいえ、これは遠くにいくということではありません。日常の複雑さと世話しなさから離れるということです。複雑でせわしないなまま、ストレスを開放しようと思っても上手くいくはずがありません。
だから休日には思い切ってシンプルでスローな一日を演出するのが効果的だと思います。そうした一日を生活に取り入れることで、ストレスを開放し、平日にしっかりと働けるようになるのだと思います。
3つのCをなくす
シンプルでスローな暮らしに切り替えるにはどうしたらいいでしょうか。複雑でせわしない日常が私たちにしみついているので、なかなか切り替えられないものです。
一つのヒントとして、「3つのC」を無くすことを私は提案しています。それは以下のものです。
- Commute (通勤)
- Computer (コンピュータ)
- Communication (コミュニケーション)
自分をストレスから開放してあげる日には、この三つを無くしてあげるのが大切だと思います。
(1)「通勤」しない
まず休日なので「通勤」を無くすのは簡単と思うかもしれません。
ただ考えて下さい。休日であっても車や電車に乗るのでは、「通勤」と何も変わらないのではないでしょうか? 買物や旅先に「通勤」しているのではないでしょうか。
勿論、日々の暮らしに慣れているので、それが特に複雑でせわしないとは思わないことと思います。しかし車に乗ればせわしなく複雑な操作が必要ですし、騒音と他の人の中での判断に迫られます。電車の移動でも同じことです。乗り物に乗ることはストレスなのです。
これでは、あなたの心は休まりません。
できれば移動はしない方がよいでしょう。歩くくらいにして、ゆっくりとシンプルな一日を守ることが大切です。
旅行するのならば最低一日は乗り物に乗らない日を作った方がよいでしょう。
(2) 「コミュニケーション」を無くす
「通勤」を無くす予定を組めたら次はコミュニケーションを無くせるように計画しましょう。具体的には一切の通信機器の電源をオフにすることです。
理想的には一人がいいと思いますが、安心できる人とゆっくりするのはいいかと思います。大切なのは雑多なメッセージを一掃することです。
「急な連絡があったら」と思うかもしれませんが、人はそんなに急な連絡が沢山ある訳じゃありません。きちんと予定すれば数日間の間、連絡を断つことは可能だと思います。それに、自分を電話やメールから開放させておくために、信頼できる人間に連絡の仲介役を頼んでおくのもよいでしょう。家族がいればそれほど難しい問題ではありません。
常に電話が掛かってくる可能性がある環境では、無意識に常に電話に出る準備をしてしまうものです。あなたもふと電話が鳴った空耳がしたり、メールの着信があったような気がして鳴ってもいない携帯を見たりしたことがあるでしょう。そういうストレスの中ではリラックスできません。
ゆっくりと一日、自分との対話、大切な人との対話を楽しむべきです。そうした時間をしっかりと確保しなければなりません。
(3) 「コンピュータ」を使わない
「通勤」と雑多な「コミュニケーション」の排除が成功したら、「コンピュータ」を隠して下さい。ここで「コンピュータ」とは情報家電一般を指しますので、テレビやラジオ、オーディオなども布で覆って下さい。
人からの着信がなくても、コンピュータを開いてネットで検索を初めたら元も子もありません。テレビやオーディオを聴いていてもメッセージが次々と飛び込んできます。
日常で慣れているから感じないでしょうが、ネットは細かい情報がめまぐるしくリンクしていてあなたの好奇心を刺激し続けます。テレビやオーディオも同じことです。常にせわしなくあなたを刺激して、少しでも目を惹こうとしているのですから。
思い切って情報家電に布を掛けて下さい。それだけで家が静かで広く感じられると思います。
何もしないこと
3Cを取り上げられると「じゃあ、何をしたらいいの?」と思うことでしょう。ドライブもできないし、テレビもメールも電話もできません。それなら寝るだけになってしまう人も多いことでしょう。
その答は「何もしないこと」です。
あなたは「何もしないこと」ができるでしょうか?「何もしないこと」が心を癒すのです。つまり、「何もしないこと」がストレスフルなあなたに必要なことなのです。
何を想うでもなく坐ったり、何を見るでもなく外を眺めたり、どこに行くでもなく歩いたりする……。あなたは想像しただけで怖気づくかもしれません。「そんな無駄はしたくない」と考えるかもしれません。ただ、その無駄が必要なのです。
その途中で不安やイライラが出てくるかもしれません。そしたら、それを受け入れて、それも自分の心なんだと静かに眺めてゆくしかないでしょう。「飽きた」「無意味」などと、車のキーや電源ボタンへと手が伸びる言い訳が出てくることでしょう。そうした自分の心を眺めていると、本質的なストレスの原因が見えてくるものです。
ただ、あまりに刺激が欲しくなってしまったら、そうなったで仕方ないことではあります。無理をすることはありません。ただ、その際にもゆっくり、シンプルに行動するように気をつけて下さい。無意識に動くと習慣でせわしなく動いてしまいます。
それこそ、ゆっくりと、シンプルでゆっくりとして暮らしに慣らしてゆけばよいと思います。
現代では子供の時からゆっくりとしたシンプルな暮らしを経験したことが無い人が沢山いると思います。家庭、学校、会社……と常に人の気をつかい続け、一人になってもテレビ、ケータイ、ネット、オーディオ、ヴィデオが次から次へと刺激を与え続けます。頭は常に興奮しっ放しです。これでは脳が異常になるのは目に見えています。
早急にこうした現代人のために、しっかりとしたストレスを開放させる取り組み(「何もしない」ための取り組みですが……)が必要になるんじゃないかと思います。
例えばヨーガや気功、坐禅や瞑想、茶道や書道などは重要な文化として再び注目されることと思います。複雑さとせわしなさは、これから更に爆発的な勢いで上昇してゆくでしょうから。