2011-11-07

書評: 定時に帰る仕事術/ローラ・スタック

何気なくブックオフで100円で買った本書ですが、とても役に立ちました。

個人的に一番役に立ったのは、最初に状況を把握するためのテストがついていて、これを定期的に行うと自分の「仕事」のレベルが定点観測できて便利だということです。

他にも色々とおすすめなポイントがあるのですが、ここでは2点おすすめポイントをご紹介します。

ハードワークとは長時間働くことではなく、自分から何かをやること

会社に長時間いる人を見ると何となく一生懸命働いているように見えますよね。でも、それは本当に仕事をこなしているといえるのかと著者は問いかけます。それは見せかけの仕事なのではないか?と。

著者のハードワークの定義は長時間オフィスにいることではありません。

ハードワークとはどんなものでしょうか。(……)今日、ハードワークというのは、あなたの頭をつかうことを意味します。

  1. 新しいアイディアを生み出す
  2. マーケティング計画を実行する
  3. 新しい方針を書く
  4. 感情的に難しい選択をする
  5. 転職する
  6. 恐怖に立ち向かう
  7. 新しいシステムや製品を開発する
  8. データがすべてそろっていない段階で意思決定する
  9. 障害を乗り越える
  10. リスクを冒す
  11. どうすればもっとやりやすくなるか考える

ハードワークとは自分から何かをやることです。ただ会社にやってきて、タイムカードを押して作業をして、退社するだけではハードワークとは言えません。

こうした基準を頭に入れておけば見せかけの仕事で時間を浪費しないで済みそうです。

感情を決めているのは出来事ではなく、自分の解釈

こちらはちょっと自己啓発系チックな話ですが、著者は感情とか行動は自分でコントロールできるはずという主張を以下のように説明しています。

どのような結果も四つの要素から成り立っています。

  1. 出来事: 何かが起こる。
  2. 解釈: その出来事が自分にどのような意味を持つか考える。脳は出来事を解釈し、あなたは自分自身に何かを「言う」。
  3. 感情: その出来事の解釈に即して、幸福感、悲しみ、怒り、恐れなどの感情を経験する。
  4. 行動: 感情に対しなんらかの形で反応する。何かをしたり、行ったりする。通常それは人の目につく行動である。

この考え方で、夫から腕時計をもらった女性のケースを考えてみましょう。

  1. 夫が新しいすてきな腕時計をくれた(出来事)
  2. 「まあ、なんてやさしいのかしら。彼は私を愛しているのね」と思う(解釈)
  3. 幸せを感じる(感情)
  4. 彼を抱きしめ、キスする(行動)

これはいいパターンですね。でも以下のようなパターンだってありえますよね?

  1. 夫が新しいすてきな腕時計をくれた(出来事)
  2. 「何を企んでいるのかしら」(解釈)
  3. 疑いを抱く(感情)
  4. 「で、あなたはいったいなにをやらかしたの?」と問いただす(行動)

こういわけで同じ出来事だったとしても感情や行動というのは正反対にもなりえるというわけです。

あなたの感情を生み出しているのはだれでしょう。あなたです。出来事ではありません。あなた自身が自分の感情を生み出し、あなたに行動させているのです。

こうよむと確かになーと感じました。

もちろん、そういう「解釈」を生む前提としての過去の経験の蓄積とかがあるわけで(で、それが結構合理的な解釈だったりするわけで)、一概にポジティヴに解釈しようぜ!というわけじゃないです。

でも、一歩立ち止まって、出来事を純粋に眺めてみて、自分がどういう感情や行動を持つことができるのかを検討するというのはよい習慣だと思いました。

*

この本は仕事を進める上でのコツが100項目に渡って書かれているのですが、それらがバラバラに並んでいるのではなくしっかりと構造付けられていて読んでいて納得感があります。

時間がないなぁ、と感じる人は手にとって見るときっと役に立つことと思います。