2007-04-27

[書評] 3分LifeHacking / 山口真弘 + ITmedia Biz.ID編集部

本書は ウェブサイト ITmedia Biz.ID での人気連載企画「3分LifeHacking」を書籍向けに再編成したものです。200本近い連載の中から66本を厳選して収録したとのことで内容はそれなりにどれも「なるほど!」と思わせるものばかりとなっています。勿論、中には「これは!」と思う記事もありました。

モノクロですが写真が多いのでパラパラ読むのに最適ですし、何より、辞書のようなサイドインデックスも入っているので検索性もバツグンです。やはり書籍は読みやすいなと実感します。ウェブではこうはいきません。


さて、ライフハック(lifehack)という言葉になじみがない方もいらっしゃるかもしれませんね。はてなダイアリーのキーワードには

効率良く仕事をこなし、高い生産性を上げ、人生のクオリティを高めるための工夫
と書いてあります。一言で言えば「生活の知恵」というようなもので、暮らしを快適にするための、ちょっとしたコツやノウハウのことを言います。

考えてみれば、「おばあちゃんの知恵袋」という言葉が示すように、伝統的には長い間の人々の暮らしの中でちょっとしたコツや工夫の知恵が受け継がれて来たのでしょう。しかし、生活が変化してゆく中で、「おばあちゃんの知恵袋」には入ってなさそうな知恵の必要性が高まって来ました。具体的にはデジタル技術の下での知恵です。ライフハックという言葉は、そうしたデジタル世代に求められる知恵を意味していると感じます。実際、本書が教えてくれるようなノウハウやコツを既に実践していらっしゃる方も多いことと思います。ごちゃごちゃと言うよりもBiz.IDのLifehackのページを眺めていただくのがよいかもしれません。また、「超」整理法レポートの書き方ノートの取り方などは十分にライフハックと言えると思う。

また、本書でも最初に取り上げている GTD (Getting Things Done)との関わりでもライフハックという言葉は意味を持ちます。GTD とは仕事をスムーズに進めるための方法論です。「時間と仕事の整理術『GTD』がカルト的人気」というhotwiredの記事もあるくらいに人気のある方法論です。詳しくは本書の第一章がGTDについてなので、それをお読み頂くか、提唱者である David Allenの『仕事を成し遂げる技術—ストレスなく生産性を発揮する方法』(原題は Getting Things Done -- The Art of Stress-Free Productivity)を読んで頂くのがベストでしょうが、ウェブ上でもlifehacking.jp の gtd のページのように丁寧に説明してくれるウェブページもあるのでそちらをご覧頂くのもよいと思います。また Biz.IDの「はじめてのGTD」という記事も参考になるでしょう。


さて、本書はそうしたライフハックを十個のカテゴリーに分けて掲載しています。

  1. GTDと時間管理術
  2. 時間と場所をHackする
  3. メール活用術
  4. デスクトップ快適化
  5. デジタルデータ攻略術
  6. モバイル環境快適化
  7. ビジネスマンの知恵
  8. オフィスワーク2.0
  9. 知性を磨く
  10. ちょっと一息
項目を見ても分かる通りPCと連携しつつの知恵が満載されています。

私が個人的に「これは!」と思ったのは

  • A4用紙を手軽に三つ折りする
  • 書類の束に「背ラベル」をつける
  • 「類語事典」で表現力アップのススメ
でした。封筒に入れる時など、A4を三つ折りにする機会は多いので知っておいた方がいいでしょうし、書類の束に「背ラベル」をつけるクリップは凄いです。「おお、絶対このクリップ書うぞ」と思いました。

本書はWindows環境に向けて書かれているので、私はGentoo Linuxを利用している関係上、そうしたハックのほとんどは無視してしまいました。Windowsを利用している方ならば、もっと多くの「これは!」というハックを見つけることができると思います。

本書の中に、あなたの仕事の質を向上させるアイデアが必ずあると思います。是非、書店で手にとってみて下さい。


3分LifeHacking

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