会社の人に勧められて読んでみると大変面白かったです。
取りも直さず重要なのは人。そしてマーケット。最後に製品のユニークさ
- まず第一に、その会社の経営陣。社長は人材として一流か。異なった分野の人々がうまく組み合わさっているか。彼らの過去の業績は。
- やろうとしている分野が成長分野かどうか(市場の伸びがない分野で新企業が成功するのは至難)。
- その市場の中でユニークさがあるか(競合に勝てるのか)。
確かにそのとおりだと思います。
製品をどう売ろうかとか考える前に、まずは、その製品が競合に勝てるだけのユニークさがあるかどうかを考えねばなりませんし、それ以前に、新企業が参入できるほどにマーケットが伸びているかどうかを考えなければならないでしょう。
そして、それよりも何よりも、まずはメンバー。まず、自分が人材としてどうか。構成メンバーに多様性があるか。やはり、人が大切。
プロダクト・ライフサイクル別戦略
優秀かつ多様性のある組織基盤があり、成長するマーケットがあり、ユニークな商品があるとして、そこから攻めるためには、プロダクト・ライフサイクルに基づいて考えるとよいとのことです。
プロダクト・ライフサイクルとは製品が市場に登場してから退場するまでの間の導入期、成長期、成熟期、衰退期の段階を示します。
市場が導入期や成長期の初期にあれば、外部からの参入は楽である。この時期は製品内容による優位性がカギである。製品の信頼感が確立していない段階で価格差を強調しても、その効果には限りがある。
やがて成長期に入ってどこの企業も似たものを出せるようになると、営業体制やアフターサービス網など、いわゆる「面」展開での蓄積に勝負の決め手が移る。
そしてその先には、価格差による戦いが待っている。サービスを提供することによって価格競争から逃れようとしても、この段階では限界がある。価格を下げる競争はコストを下げる競争である。そのためには販売量を増やさなければならない。かくして競争は、ますます面展開や量的拡大の競争に移っていく。それは資金量の戦いでもある。
自分の製品がどの段階にあるのかを意識して、明確な目的意識を持った戦略を立案していくのは確かに大切と感じました。
通常の人がベンチャーに来てやってしまう間違いがあります。それは、まだまだ導入期で、アーリー・アダプターしか受容しない製品にたいしても、大手の製品、それも既に成熟している製品のマーケティング戦略をイメージして実施してしまうということです。
これは無理も無いことです。多くのマーケティングの本やドラマなどでも、登場するのは大企業の成熟した商品が題材なのですから。
このプロダクト・ライフサイクル別に戦略を変えるというのはシンプルですが、本当に大切なことだと思います。
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この本のいいところは、この本が小説であるということです。
よくある経営本やマーケ本のように理論が並んでいるのではなく、物語になっているのです。登場人物の境遇に共感しながら、臨場感を持って読み進めることができます。
ビジネス書としてもビジネス小説としても大変に面白い本です。表紙のイラストは嫌いですが、食わず嫌いでした。私もおすすめします。