2007-07-21

7つの鬱病への誤解

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鬱病への誤解が多く、鬱病の人は更に苦しむことになる。鬱病は心の病気じゃないし、甘えているわけじゃない。誰でもなる可能性のある病気であり、治る病気だ。典型的な誤解を7つリストアップしてみた。

1. 鬱病って、心の病気なんでしょ?

違う。鬱病とは身体的な病気であって、その症状の一部として精神的、心理的に現われたものと考えて欲しい。

2. 鬱病って、要は甘えてんでしょ?

違う。身体的な原因により、本人の意志ではどうにもならない状況が鬱病である。

鬱病の人が愚痴や文句を言うのは、インフルエンザの人が熱を出したり鼻水を出したりするのと同じだと考えて欲しい。

3. 鬱病って、普通に話したり働いたりできないんでしょ?

違う。持てる能力をフルに発揮できていないにしても、中程度の症状なら、どうにか話したり仕事したりできる。だから、普通に話しせるんだから病気じゃないというのは違う。

4. 鬱病って、前向きに生きようとすれば治るんじゃないの?

違う。そもそも、そうしたポジティブな思考をしたり、過去を忘れたりする機能に問題が生じているのだと考えて欲しい。繰り返すが意志でコントロールできるなら病気ではない。

鬱病の人が頑張って前向きに生きようとしたり、過去を忘れようと努力しても、うまくいく可能性は低い。逆に自分が弱いのだと誤解したり、罪の意識や恥の意識に苦しんでしまい、治りにくくなるかもしれない。

5. 鬱病って、要は落ち込んでるわけで、そんなに真剣に考えなくてもいいんでしょ?

違う。鬱病はその人の感情を蝕むだけでなく、健康も、人間関係も、仕事も、思考力も奪ってゆく深刻な病気である。ときには命さえも奪う恐しい病気だ。自殺率は10%を超えるとも言われる。

また沈み込む症状ではない鬱病もあり、中でも攻撃的になる激越性の場合には自殺は50%を超えるともいわれる。

6. 鬱病って治らないんでしょ?

違う。適切に処置すれば多くの場合は治る。少なくとも改善に向かう。治療方針は基本的には一般の病気と同じで、自分と周囲が病気であることを正確に認知し、薬を飲み、養生して、回復を待つことである。身体の病気であるので身体の治癒力に頼るのである。

7. 鬱病って、特別な、弱い人がなるんでしょ?

違う。鬱病の原因に定説はないが、基本的には社会的・生物的ストレスと遺伝的、生理的なものが原因であると考えられており、個人の性格や能力などに関係があるのは証明されていない。その意味で、誰でもかかる可能性がある病気である。癌になる人が特別な人とは言えないのと同じである。

生涯の間に鬱病になる人は男性で12%、女性で20-25%にのぼる。この数値は上昇すると考えられており、WHOの予測では、2020年には世界全体で仕事ができなくなる原因の第1位となるとされている。

社会的費用を軽減するためにも、幅広い理解が必要な病気であると言えるだろう。