2007-04-19

[書評] タオの気功 - 健康法から仙人への修練まで / 孫俊清(1995)

気功の本を読むのは初めてである。どれを読もうか迷っていたが、何と言っても仙人の修練と書いてあるのにひかれた。

著者は道家気功の主流をなす武当龍門派の第19代伝人とのこと。やはり著者は仙人なのだろうか?武保門氣功のサイトには師の顔写真の他、師の揮毫した所の書や絵画も掲載している。

類書を読んでいないので比較もできないが、イラストも多いし、説明も丁寧。動作の数も多い。一つの動作を学ぶのに2-3週間必要だろうから、この本一冊で何年間もかかるものかもしれない。本書は仙人の道への基礎となる養生気功が中心に扱われており、目の回復につながる気功も載っているのも特筆する点だろう。本書だけでは仙人にはなれないが普通の人には問題はない満足のいく内容となっている。

さて、そうとは言え目標は大きくしたいである。本書は仙人の道程についても記述がある。それによれば仙人への階梯は以下の7段階である。

段階修練内容気の移り変わり肉体・精神での変化
1後天の精、気、神をコントロールする。気功の体操を通して、調息、調心、調身を図る。後天の精、後天の気、後天の神体調がよくなる。丹田を中心としてからだが内部から暖かくなる。
2後天の精、気、神をある程度治められるようになったら、先天の精に移る。動功と平行して静功を始める。先天の精健康になり病気をしなくなる。
3いわゆる動功の修練に習熟した、一般的な気功師の段階。気の流れを強く感じながら、動功と静功を行う。先天の気治療が可能になる。丹田のエネルギーを識別する。
4動功から次第に静功の修練が重要になる。胸を空にする静功を行う。先天の神胸の叡智が目覚め、様々なことがわかるようになる。いわゆる神通力がつく。
5動功はしなくてもよい。修練は静功のみ。心身共に空気と一つとなる静功を行う。虚空第三の目が開き、神の世界や霊の世界が見え、そこに入ることもできるようになる。
6静功と精神修行のみ。先天真一の気金丹の根を得る。
7俗世界を離れた修行を行い、悟りを開く。仙人・神様金丹を創って、仙人になる。
尚、1-2段階は健康のため、3段階は気を自由に操るとあり「この段階までは人によってスピードの差はあれ、基本的には、養生気功などの動功を中心とした修練を続けていれば、誰でも比較的簡単に到達でき」るとのこと。

次に4段階は潜在能力開発であり、5-7段階は本格的に悟りを開くためとある。虚空の世界とは「物質や肉体以前の根源的なエネルギーの世界」とのこと。そして、先天真一の気とは万物の主で、天地の元たる本源的な生命エネルギーのこと。すべてのものの「祖気」ともいうらしい。

これらの段階は1段階から順に始めなければならないとのことなので注意は必要である。つまり、仙人を目指していても、まず養生気功からというわけである。当然のことだろう。

私は早速、本書の腰掛けの気功法にとりくんでいる。一カ月ほど続けると「丹田」に温かい感じが出てくるとのことなので、楽しみである。