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今回はシンプルにパソコンと付きあう方法について考えてみたい。以下の文書を書いて分かった方法論の基礎は以下である。
- 入力と分類、検索と概観を明確に区別して行動する。
- カテゴリ分類ではなく、状況分類する。
- ファイル・システムに頼らない。
1. デスクトップ壁紙もアイコンも消去
デスクトップは部屋における床と基本的に同じであると考える。つまり「最低限のもの以外」は置かないことである。床に物を置き出すと際限がないように、デスクトップにアイコンやショートカットを置きだすときりがない。よって基本は最小限にすることである。
それを実現するにはファイル保存のコツがいる。2を読んで下さいな。
2. ファイル保存はカテゴリー分類ではなくステータス分類
ファイルの保存は誰もが大概カテゴリーとかジャンルで保存する。そして崩壊する。理由は分類作業そのものが手間なのと、分類体系そのものが作業をする中で変更してしまうからである。
個人の場合、カテゴリー分類をする必要はない。それは他人に公開したり共有する場合に必要なものであり、個人では、分類の枠組みを考えたり、それを変更したりする手間を考えると割に合わない。また、仕事をする中で、分類の枠組みそのものが変更になってしまうことは往々にしてあり、その移行の手間も馬鹿にならない。
私はカテゴリー分類をしない。ただ、まったく分類をしないのも使いにくい。その代わりに、そのドキュメントの状態で分類をしている。
方法は簡単である。私はLinuxを使っているが、基本的にはドキュメント用のフォルダを作り、そこに仕舞うことである。私の場合、~/doc (My Documentに相当)以下には、
- INBOX(ひとまず全部入れる受信箱)
- PROJECT
- ARCHIVE(完成品を保存する)
- SOMEDAY(「いつかやるかも」な未完成をしまう箱)
- FRIEND(人から貰ったもの、あげたものを人別に分類)
- TRASH(ゴミ箱)
使い方は以下の通りで、大体理解してもらえるかな。
- ひとまずドキュメントやプログラムは適当に受信箱に入れておく。
- ちょこちょこ書いて完成したらARCHIVEに保存する。
- 直ぐに完成しなかったり複数のファイルや資料が必要なものだったら、時期を見てフォルダを作ってフォルダに入れ、それをPROJECTに移動する。
- 書き始めたはいいが「別に今やる必要ないな」とモチベーションが低下したらSOMEDAYに放り込む。
- 勿論PROJECTになったものも完成したらARCHIVEに入れる。
- 特定の人から貰ったり、あげたりしたものは、個人的なものは人別に分類してFRIENDに放り込む(唯一、自分で作成していないものが保存されるフォルダ)。
- 基本的にいらないが、すぐに消すのが恐ければTRASHに放り込む(勿論、WIN/MACなら付属のゴミ箱を使う)。
こうした操作をすれば、ひとまず、作業中のファイルやフォルダはすぐに見つけられる。つまり、未分類なものはINBOXにあり、現在進行中はデスクトップかホームディレクトリにある。あるいは、プロジェクトになっているものはPROJECTフォルダにある。このプロジェクト・ディレクトリの中身もホームディレクトリにリンクしておけば、簡単である。ただし、くれぐれもデスクトップのリンクは最小にしておく必要があるので注意。
あとは作業の終了や放棄に従いARCHIVEやSOMEDAY、あるいはFRIENDSやTRASHに放り込めばよい。ファイルを見つけるのが大変になりそうに思うかもしれないが、高度な検索機能と変更日時による並べ代えができるので普通は問題は生じない。ただ、「分類」は「探すため」というよりも「分類」する中で発見をするために行う場合もあると思うので、次の節ではそのことに触れたい。
ちなみに、docフォルダ以外には、musicとmediaとlibとtmpフォルダなどがある。musicは自作の音源が保存され、後は以下の通りである。
+ media(外部取得のメディア)
- music
- video
- document (主にPDF)
+ lib(設定ファイルや簡単なスクリプトなど)(設定ファイルは規定の場所にシンボリックリンクしている)
- etc (設定ファイル)
- dotfile (設定ファイル)
- bin
- cgi-bin
- shell
- emacs
- tex
+ tmp (消えても問題ないもの)
- src (一時利用しているソースなど)
- log
ファイルシステムでドキュメントを把握しない
そうして数々のドキュメントやプログラムが保存されてゆくが、段々とSOMEDAYやARCHIVEに雑多にファイルやフォルダが保存されてゆく。これは、これで良く、その上でフォルダを作って分類しようとすると、簡単な分類程度なら良いが、はまるとただの時間の無駄となる。「分類」には人をハメてしまう魔力があるので注意が必要である。
もし、何かを探したいのなら全文検索すればよいのだが、探すというより、眺めたい時があるものである。つまり、自分の作業を概観したり、自分の書いたものから新しいアイデアを見い出したいと思うものである。
こういう時には別途ドキュメントを作成した方がよいと思う。一見、無駄に見えるが、結局は時間労力の節約になる。つまり、
- 表計算ソフトにファイル名を貼る。
- 必要なら簡単なコメントを書く。また、変更日時なども貼ればよい(これはスクリプトを書けば簡単な話だが、普通の人は大変かもしれない)。
- ジャンル分けを別途記号にしておき、分類記号をセルに入力する。
これで、簡単文献データべースの完成である。好きに並べ変えたり、抽出したり、グラフを作ればよい。楽しい楽しい夢の世界である。中途半端にフォルダを掘ったりしていては分からないことも発見できるし、何よりもフォルダを掘ったり消したりコピーしたりするよりも時間の節約である。
そうじゃなければ印刷してしまうのも手である。全部印刷して簡易製本してしまうのが何よりもオススメだが、単純に最初の一頁だけを印刷して、机の上にカルタのように並べて、いじってみてもよい。新しいアイデアが湧いて来てくれると思う。
ファイルシステムが革新的に進化しない限り、表計算ソフトや印刷して並べる以上に、簡単かつ効果的な仕事の概観や分類は不可能と思う。
外部より取得したメディアの管理
私はネット経由で取得したものをほとんど保存しない。印刷できるなら印刷するし、焼けるなら焼くし、カセットテープに入れたりする。
特にある程度まとめて印刷して簡易製本してしまうのは、かなりオススメである。目が楽だし、読むのは早いし、分類も本棚利用なので簡単である。もちろん短かい文書はディスプレイで読んでいるが、ディスプレイだけで読むとなると、ネットの文書は短かい文書しか読まない習慣が気がつくとできていることだろう。
ちなみに、カセットテープはオッサンたる私には非常に便利である。語学や講演などの一定の長さがあり「CDに入れるほどでもないけど、いつか聴くかなぁ?」的なmp3はカセットに録音して並べておき、高校生の時のヘッドホンに付っこみ散歩のお供にする。そして、必要なくなれば上書きする。これである。講演を途中で止めても、また再生を押せば、止めた所から聴けるのである。すばらしい。物理的実在インターフェイス万歳である。少なくとも無駄にダウンロードしておいてHDに置いておくのも精神衛生上悪いし、作業しながらの流し聞きは、あまり頭に入らない。
以上のように、私はネット経由で取得するメディアも少ないし、しかも、それも悉く物理的に実存させるので、HDでヴァーチャルに管理はしない。一時はCDをmp3やflacにしまくったが、全部消した。そうした聞き方ではタレ流しになってしまうのである。ま、そういうのは、それでもいいが、それならネットラジオで充分かと。
それでも、あえて言うならば、こうしたメディアはファイルシステムで管理しようとしては絶対にいけない。PDFなら文献管理ソフト(Jabrefなど)、画像なら画像管理ソフト(picasaなど)、音楽や映像ならジュークボックス型音楽再生ソフト(amarokなど)で管理するべきだろう。ウェブページは難しいが、firefox の scrap ソフトを利用するのが一見すると良さそうに見えた(使ったことないが。ウェブについては次節で述べる)。
ただ、どれもインターフェイスとしての完成形態にあるとはとても思えず、一般的で個人的な用途には、まだまだ本棚やCDラック、カセットなどには勝てないんじゃないかと思う。目も疲れるし。
日付と目的でブックマーク管理
ウェブサイトをいかに管理するのかという問題は常に人々を苦しめている。ブラウザ付属のブックマーク管理ソフトから、外部のブックマーク管理専用ソフト、更にはソーシャル・ブックマークまでが存在し、人々はそれらをさしたるヴィジョンもなく利用し、破綻し、結局グーグルに頼っている。
私はブックマーク整理をあきらめている。どうせアドレスが変われば何の役にも立たない。分類しようが、タグだろうが何だろうが、長期的に見れば破綻するのである。
また通常の情報源としているのはRSSリーダーであり、ネットをふらふら辿って面白いサイトを探すということがほとんどない。
現在私は、はてブとブラウザ付属のブックマーク機能のみを利用している。そして、はてブの方は自分で管理するという意図は一切なく、人に「こんなページあるよー」と見せるためである。
一方、ブラウザのブックマークでは、単純にそのブックマークをした理由で分けている。例えば、現在のフォルダ分けは以下のようになる。
- 巡回……常々チェックするRSS非対応なサイト
- 本…amazonや図書館の本情報へのリンク
- 見せたい…知人に見せてあげたいサイト
- ad…まあ、あれ
- -----------------------
- ○○寺…今度行こうと思った寺関係の情報
- 長期滞在…彼女と行こうと思ってる旅行関係の情報
- ストレッチ…体を柔らかくしてくれそうな情報
- トピック…上のようなトピックをしまったフォルダ
- -----------------------
- 20070611…一昨日ブックマークしたサイト
- 20070609…その二日前にブックマークしたサイト
- 日付別…上のような日付別のフォルダをしまうフォルダ
だいたい説明を読めば私が何をしているのか理解して頂けると思う。やっているのは以下の通り:
- 基本的に巡回するサイトやadなサイトは取り出しやすい位置に置いておく。「分類」は重視せず、巡回の頻度で分けておくと楽。
- 本関係の情報は購入や予約のために整理しておく。済んだら「済」フォルダに入れる。
- 「ねぇねぇ、これ見てよ。スゴくね?」もまとめておく。で、見せたら「済」フォルダに入れる。
- 何か目的が明確にあって調べた場合には、その目的のためのフォルダを作り、そこに仕舞う。
- そうでないなら日付別にフォルダを作ってしまう。
以上のようにしておいて、日付やトピックのやつは定期的にちらっと覗いてみて、古ければあっさりと捨ててしまうとよい。どうせ昔のブックマークなど役に立たないのである。捨てるのも面倒ならば、「済」に放り込み、見えないようにすればよいだろう。どうせグーグル様がいるのである。
上記のようなあっさり管理にしてから、常にすっきり、さっぱりになってくれたし、情報摂取に際して充分に実用的と感じている。なんだか「俺様スゴくね?」な文ばっかりでアホみたいだが、ブクマ管理で苦しんでいる人は是非。
メモはChangeLogメモとアウトライナー
パソコンやネットというのは、それ自体が与えてくれる情報もあるのだが、その情報を得るための情報、ある操作を実現するための情報が必要になる。ブクマも情報を得るための情報であり、それは上記のような方法で解決したが、案外、パソコンを使う上でのコワザも増えるものである。
こうした情報を印刷したり、手書きでメモするのもアホらしい。コピペで簡単にメモしておいて、必要な時に出せればよい。どうせパソコン使うための知識であり、パソコンを使う時以外には何の意味もない情報である(逆にパソコン関係以外の情報は積極的に印刷し、手書きのメモを加えるようにしている)。
私はいわゆるChangeLogメモを利用している。これは一つのテキストファイルに何でもメモを書きこんでしまうという方法である。有名な方法であり手法は確立しているので、知らなければググって欲しい。Winな人なら専用ソフトで一発で開いてメモできたり、秀丸にマクロしこめば幸せになるだろう。また、EmacsやVimでも簡単に書けるので幸せである。
この際、カテゴリ分類を私はしなくていいと思う。粗い分類は最低限の役にはたつが、結局は最低限の役にしか立たず、あっても無くても同じである。直近のメモを参照するのもエディタの検索を使えばよいので簡単に参照もできる。また、時間や場所の記憶というものは人間とても強いので、一枚のテキストに書かれたメモならばかなりの速度で発見できる。わざわざ分類するメリットは見えにくいし、カテゴリ分類を気にするあまり、あっさりメモすることが出来なくなる危険性がある。また、一週間くらい前のメモを見るとカテゴリを書き直したくなったりしてしまい、何をやってんだか分からなくなってしまう。
とは言いながら、時間記憶に頼るのも限度というものがある。一年以上前のメモはかなり記憶もあやふやだし、メモしたことすら忘れて、同じ情報をググったりしてしまうものである。それに昔の情報だと適切なキーワードが思い浮かばず「あー、あれ、あれ、うー」となってしまう。ほとんどボケたジーサンであるが、人間そんなもんである。
そこで私は一年に一、二回はメモを分類整理している。その際に、最初はスクリプトを書いたりもしたり、最初にメモする時に書いていたカテゴリを利用したりもしたが、現在では、アウトライナー(アウトライン・プロセッサ)にコピペして、それを手で分類することにしている。手間のようだが、メモするたびにカテゴリを分類したり、それを枠組みが変更するたびに書き直したり何だりしているよりは、年に一、二度、アウトライナーで自分の一年間のメモと戯れるというのもよいと思う。
方法は簡単であり、一つ一つのメモをノードに切り分けてしまい(ここはスクリプトを書けると一瞬だが……)、次に項目を立ててゆき、それにドラッグ・アンド・ドロップすればよい。大概のアウトライナーで簡単にできる操作であると思う。
こうして分類をしておけば、参照する時に多いに楽である。
「なら、最初からアウトライナを使えばいいじゃん?」と思うかもしれない。私も一時そう思ったのだが、それは最初から分類する必要があるということであり、書いたり調べたりするたびに分類のインターフェイスと付きあうことになり、結局、分類をゴチャゴチャとやるという時間の無駄に陥るのである。
入力と分類、検索と概観などを意識的に分けることが、こうした無駄からの脱却につながるのだと、私は結論している。
おわりに
上記の方法でかなりシンプルかつ効率的にパソコンを利用できるんじゃないかと思う。もちろん、こんな方法はありふれた誰でも知ってる方法かもしれない。また、これよりよい方法があるだろうとも思う。つまり、現在の私にとっては満足のいく方法とは言えるというだけで、これがベストだと言って、皆に押しつける気は微塵もない。それじゃ宗教だ。
ただ、一つのアホウな私の無駄な苦労の結果として、上記のような認識があったのだと参考にして欲しい。