2007-06-28

[書評] 仏教入門 / 三枝充悳

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岩波新書。幅広く仏教の歴史と教義内容を概説した良書。仏教の入門書を色々と読んでいるが[1]、今のところ、これが一番いいと感じる。

インド仏教は、前期(初期・原始仏教期)中期(大乗)後期(大乗後期、密教)と分類し、それぞれに基本的なコンセプトの解説も交えて説明してくれる。

インドの他にもチベット仏教、南伝上座部仏教(テーラワーダ)や中国・日本の仏教も概説してくれる。

因縁や四諦、唯識や如来蔵、因明などの基本概念を、簡単に時代の流れと共に理解したい人にはおすすめ。説明は、とてもドライで宗教本にありがちな嫌味がなくすっと読める。いかにも学者の本だ。

ただ、コンパクトなので知識の羅列に近いとも言える。読み物としての楽しさや等を追う人や、「説教」してもらいたい人とかにも向かないかもしれないかもしれない。

しかし、仏教理解に最低限必要な歴史や概念を無駄なくすっきと理解するのに、これよりもよい本というのも少ないかと思う。仏教に詳しい人も詳しくない人にも一読をおすすめする。

notes

[1] 仏教関係の読書記録 [書評] 仏教誕生 / 宮元啓一 (1995)など……。