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気になる分野なので一応、今の感想をメモしておく。
ソニーと松下が電子書籍端末事業から撤退するらしい。日本では専用端末による電子書籍は流行らず、その間に携帯電話向けの電子書籍市場が成長したということらしい。
一方で、米国ではアマゾンの端末 Kindle が爆発的な人気とも聞く。3月には 供給が追いつかないことについて謝罪文を掲載していた。高価で重い 大学の講義用のテキストがオープンソース化されているという動向もあるらしい。こうしたオープンソースのテキストを読むための端末としても、電子書籍リーダーの需要は今後ますます高まることと思う。
この日米の差はなんだろうか。
ソニーや松下の端末とアマゾンのそれとにそれほどに大きな差があったのだろうか。私はそうは思わない。実物をきちんと見たわけでもないのだが、写真やブログの記事を眺めた限りでは、ものとしてはソニーの製品の方が優れていたように感じる(ちなみに私は大のソニー嫌いである)。少なくとも Sony Reader と Amazon Kindle とを比べた際、全体の機能やデザイン、そして価格の点で Kindle が目立って優れているようには見えない。
コンテンツ事情
まず、コンテンツの準備を、Amazonは成功したと言えるのだと思う。少くとも、松下やソニーの準備できたものとは桁違いである。よく分からないが、日本の出版業界は旧態依然ということだろうか。
また、日本の電子ブックリーダはTXTファイルやPDFを読めなかったことにも問題があったと思う。有料の電子ブックによらず、既に豊富に存在するネット上のコンテンツを読めるとしたら、それだけでも価値があったとは思う。上述の通り、大学で使用されるぶ厚く高価な教科書を、無料でダウンロードして表示できるとしたら、それを表示する機器の価値も向上することだろう。
使用する文字と表示解像度の問題
次に、文字表示の問題もあるのだろう。線画が細かい日本語の方が、紙とディスプレイとの差に敏感になる。これもディスプレイでの読書を妨げる大きな原因となったと思う。
また、細かい話だが、印刷の字体とコンピュータで利用される字体の差も気になる人には気になるものである。現に紙をなくして情報として活用するというラディカルなライフスタイルをとることを決意し、『記憶する住宅』を実践している美崎薫も述べている。
デジタル書籍も出ていますが,ちゃんと読むには,表示やフォントのクオリティが足りないと思っているのです。たとえば「逢う」という漢字を点がふたつついたしんにょうで読みたいとか,「躯」という文字を「身+區」で読みたいとか,「掴む」という文字をてへんに旧字の國で読みたいとか,そういうこだわりです。(Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性 第3回 紙をデジタル化する)
この点では、アルファベットを利用する欧米では問題がなかったことと思う。印刷物と何ら変わりのない表示が可能だったのではなかろうか。電子書籍端末でなくとも、欧米やラテンアメリカの人には長文を読むのも平気と答える人が多くみられる。彼らが PDF とかも平気で読み出すのでビビった。通常のディスプレイでもきちんと表示されているのだから、これが専用の端末で表示に気を使っているのならば、本当に書籍を読むのと変わらない表示になっていたのではないだろうか。
個人的には目の負担を軽減する技術は大歓迎である。ある程度の大きさの端末を机に置いて読書なり勉強なりに利用できたら素晴しいと思う。特にネット上のコンテンツを印刷せずに、負担なく読めるようになるのはありがたい。今後も電子ペーパーや電子書籍・電子新聞・電子辞書の類には注目してゆきたい。というか、Kindle 買いたい。