2008-10-18

EU首脳、世界経済監視機関を提唱

Bloomberg で 世界経済監視機関設立へ EU首脳、金融システム改革で一致 という記事を見つけた。EUが主導で金融システムの全面的な見直しを行い、米国に提案するようだ。

具体的には11月にもサミットを開き、ブレトンウッズ協定を改正し、世界経済を監視する機関を設立することを提唱するというから興奮する。他にも以下の事項も検討するらしい。

  • 多国籍金融資本への監督強化
  • IMFの改革
  • ヘッジファンドへの規制強化
  • 格付け機関への新たな規則
  • 経営者の高額報酬に対する資源
  • 過度なリスクを追う取引に対する罰則
  • 証券化商品について「時価会計」制度の一時凍結

ついに国際金融への規制機関が誕生するということか。トービン税(トービン税 - Wikipedia)導入などが現実化するのだろうか。それとも、新たな金融横暴の序章になるだけなのだろうか。一体、どういうことになるのだろう。

そもそもブレトンウッズ協定の改正というのが熱い。暫定的な処置ではなく、大枠の書き換えである意思を感じる。

ブレトンウッズ協定は1944年に開かれた連合国通貨金融会議(45ヵ国参加)で締結され1945年に発効した国際金融機構についての協定であり、通貨の安定、貿易振興、開発途上国の開発を目的としていた。この理念の下、IMFと世銀の設立を決め、貿易振興と開発援助の資し、更に通貨の安定策としてドルを基軸通貨とし、金1オンスを35USドルとさだめ、そのドルに対し各国通貨の交換比率をさだめた(金本位制)。尚、この固定相場制のもとで、日本円は1ドル=360円に固定された。

この体制下で西側諸国は、史上類を見ない高度成長を実現。特に、日本は1950年代から1970年代初めにかけて高度経済成長を実現し「東洋の奇跡」とよばれた。 安定した自由貿易の利益が先進工業国全体の経済を改善した。

しかし、そのブレトンウッズ体制は、71年にニクソン・ショックによりアメリカが金とドルとの兌換をやめ、更に、73年には変動相場制へと移行したことで崩壊した。

この体制を改正するということは、国際的な通貨制度、貿易、開発援助の根底が議論され覆る可能性だってある。個人的には、少なくともIMFの改革の中にワシントン・コンセンサスの排除が入っていて欲しいものだと思う。

また、基軸通貨の問題が出てくるかもしれない。IMFのSDRとかがクローズアップされるかもしれないし(特別引出権 - Wikipedia)、「金本位制」や「固定相場制」「バンコール」などという概念が戻るということすらあるかもしれない。あるいは全く逆に基軸のない多極的・多重的な世界が現れるのかもしれない。

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ブレトン・ウッズ体制が崩壊してはや三十数年。今まさに世界は大きく変化しようとしている。今後の動向を注意深く見守りたい。

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