2008-02-09

ドストエフスキー『罪と罰』について(2) あらすじと感想

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罪と罰のストーリーと構成についてメモしてみた。 

罪と罰は三本の筋からなると思う。

一つは元大学生ラスコーリニコフによる老婆と少女の殺害から自白までの物語であり、警察官のザミョートフや予備判事ポリフォーリーが中心的に関わりつつも、登場人物の殆どが関わる中心的な筋である。 

二つ目はラスコーリニコフの妹ドゥーニャが二人の男に狙われるた末にラスコーリニコフの親友・ラズーミヒンと結ばれる物語である。

彼女を狙う一人目の男はルージンという弁護士であり、ドゥーニャは婚約してペテルブルグにやってくるが、次第にルージンの下劣さが明らかとなり、彼の目論見は悉く失敗し婚約は破棄される。

二人目は彼女が以前に家庭教師をしていた先の主人・スヴィドリガイロフであり、彼は妻を毒殺し彼女を追ってペテルブルグにやってくる。彼は彼女の愛を掴めぬと諦めるとピストルで自殺した。 

最後は破滅する一家を娼婦となり支えるソーニャの物語である。

アル中である父マルメラードフは、十八歳の娘・ソーニャを娼婦にしても呑み続け、馬車の事故で死亡する。その事故の現場に遭遇したラスコーリニコフは、以前に飲み屋で会話した事もあり、残された一家に便宜を図り、その後ソーニャにひかれてゆく。

葬式では騒動が起こりそれが切っ掛けで妻・カチェリーナは発狂し、死んでしまう。マルメラードフの葬式ではルージン(マルメラードフ一家のアパートに住んでいた)の陰謀も描かれ、陰謀の失敗をもってルージンは再起不能となる。

結局、スヴィドリガイロフ(ソーニャのアパートに住んでいた)の便宜で子供は孤児院に入り、ソーニャとラスコーリニコフは結ばれてゆく。 

こうした三つのストーリは分離したままではなく、ラスコーリニコフのソーニャへの自白により、ソーニャの物語はラスコーリニコフの犯罪の物語に組み込まれてゆき、また、その二人の会話を聞いたスヴィドリガイロフの介入によりドゥーニャの物語もラスコーリニコフの物語へと強く繋がってゆく。

このストーリが、以下の六部構成で語られてゆく。 

第一部は導入であり基本的な登場人物とその事情が紹介され、最後に殺害が行われラスコーリニコフの犯罪の物語がスタートする。

  1. まず、ラスコーリニコフが登場し
  2. 飲み屋でマルメラードフと出会い、娼婦となったソーニャや肺病病みの妻カチェリーナなどの悲惨な状況を聞く。
  3. 次に母からの手紙で妹ドゥーニャがスヴィドリガイロフのセクハラで家庭教師を辞め、ルージンと結婚すべくペテルブルグにやってくることが知らされる
  4. ラスコーリニコフは犯行を迷い彷徨い、かどわかされた泥酔した娘を救ったり
  5. 馬が打ち殺される夢を見る。そして、ある切っ掛けで犯行を決意する。
  6. 出発し
  7. 老婆とリザベータを斧で打ち殺す。 

第二部では、ラスコーリニコフの物語が進展してゆき、最後にマルメラードフの死によってソーニャの物語も始動する。

  1. 早速にラスコーリニコフと警察とのやりとりが開始し
  2. 親友であるラズーミヒンや
  3. 医者のゾシーモフが登場し、その会話を通じ強盗殺人の物語を深めてゆく
  4. すかさず、この筋の上にルージンが登場し早々にラスコーリニコフとラズミーヒンと喧嘩となる。
  5. 警察官のザミョートフとの心理戦で警察対ラスコーリニコフの戦いも開始し、
  6. 一方でマルメラードフが馬車の事故(自殺?)にラスコーリニコフは遭遇し、一家に便宜を図ることで、マルメラードフ家破滅の物語も本格的に動き出す。 

第三部ではドゥーニャと母プリヘーリヤの登場によって彼女の物語が急激に始動する。

  1. プリヘーリヤとドゥーニャが登場するがラスコーリニコフは彼女らを拒否し
  2. ラズーミヒンが彼女らに便宜を図るうちにドゥーニャに恋に落ちる。
  3. そして、彼女らがラスコーリニコフやラズーミヒンを交えて話す中で、ドゥーニャの物語が更に深まる。
  4. そこに葬儀の招待のためにソーニャが登場する。強盗殺人の筋も
  5. ポルフィーフィーとの論戦で最高に盛り上がり、
  6. 焦燥したラスコーリニコフは悪夢と「町人風の男」に悩む。 

第四部では

  1. スヴィドリガイロフが突如登場し、
  2. ルージンとの決別も起こり、
  3. ラズーミヒンとドゥーニャの未来が企画されてゆき、ドゥーニャの筋は急展開する。
  4. ラスコーリニコフもソーニャを訪問し、彼女の信仰が描写される。
  5. その後、ポルフィーリーとの熾烈な論戦が描かれるが
  6. ニコライの自白でラスコーリニコフは逃れ、町人風の男の正体も明らかとなる。 

第五部ではマルメラードフの葬式からカチェリーナの死までが描かれる。

  1. ルージンがレベジャーノミコフの前でソーニャに金を渡し
  2. カチェリーナが大家のアマリアと葬式だというのに喧嘩し
  3. ルージンがソーニャを策略に嵌めるがラスコーリニコフとレベジャーノミコフに救われる。
  4. ラスコーリニコフはソーニャに自白する。
  5. カチェリーナが発狂し橋で子供を踊らせ、最後に血を吐いて倒れ死んでしまう。 

第六部は、

  1. ラスコーリニコフがラズーミヒンと話し
  2. ポルフィーリーが訪問し、自白を勧告する。
  3. ラスコーリニコフの罪をしるスヴィドリガイロフとの対話、
  4. スヴィドリガイロフとドゥーニャの対話(ドゥーニャは彼を拒みピストルを向ける)、
  5. スヴィドリガイロフの自殺、
  6. ラスコーリニコフと母とドゥーニャとの対話、
  7. ラスコーリニコフとソーニャとの対話を通じ、最終的に自白に至る。