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罪と罰のストーリーと構成についてメモしてみた。
罪と罰は三本の筋からなると思う。
一つは元大学生ラスコーリニコフによる老婆と少女の殺害から自白までの物語であり、警察官のザミョートフや予備判事ポリフォーリーが中心的に関わりつつも、登場人物の殆どが関わる中心的な筋である。
二つ目はラスコーリニコフの妹ドゥーニャが二人の男に狙われるた末にラスコーリニコフの親友・ラズーミヒンと結ばれる物語である。
彼女を狙う一人目の男はルージンという弁護士であり、ドゥーニャは婚約してペテルブルグにやってくるが、次第にルージンの下劣さが明らかとなり、彼の目論見は悉く失敗し婚約は破棄される。
二人目は彼女が以前に家庭教師をしていた先の主人・スヴィドリガイロフであり、彼は妻を毒殺し彼女を追ってペテルブルグにやってくる。彼は彼女の愛を掴めぬと諦めるとピストルで自殺した。
最後は破滅する一家を娼婦となり支えるソーニャの物語である。
アル中である父マルメラードフは、十八歳の娘・ソーニャを娼婦にしても呑み続け、馬車の事故で死亡する。その事故の現場に遭遇したラスコーリニコフは、以前に飲み屋で会話した事もあり、残された一家に便宜を図り、その後ソーニャにひかれてゆく。
葬式では騒動が起こりそれが切っ掛けで妻・カチェリーナは発狂し、死んでしまう。マルメラードフの葬式ではルージン(マルメラードフ一家のアパートに住んでいた)の陰謀も描かれ、陰謀の失敗をもってルージンは再起不能となる。
結局、スヴィドリガイロフ(ソーニャのアパートに住んでいた)の便宜で子供は孤児院に入り、ソーニャとラスコーリニコフは結ばれてゆく。
こうした三つのストーリは分離したままではなく、ラスコーリニコフのソーニャへの自白により、ソーニャの物語はラスコーリニコフの犯罪の物語に組み込まれてゆき、また、その二人の会話を聞いたスヴィドリガイロフの介入によりドゥーニャの物語もラスコーリニコフの物語へと強く繋がってゆく。
このストーリが、以下の六部構成で語られてゆく。
第一部は導入であり基本的な登場人物とその事情が紹介され、最後に殺害が行われラスコーリニコフの犯罪の物語がスタートする。
- まず、ラスコーリニコフが登場し
- 飲み屋でマルメラードフと出会い、娼婦となったソーニャや肺病病みの妻カチェリーナなどの悲惨な状況を聞く。
- 次に母からの手紙で妹ドゥーニャがスヴィドリガイロフのセクハラで家庭教師を辞め、ルージンと結婚すべくペテルブルグにやってくることが知らされる
- ラスコーリニコフは犯行を迷い彷徨い、かどわかされた泥酔した娘を救ったり
- 馬が打ち殺される夢を見る。そして、ある切っ掛けで犯行を決意する。
- 出発し
- 老婆とリザベータを斧で打ち殺す。
第二部では、ラスコーリニコフの物語が進展してゆき、最後にマルメラードフの死によってソーニャの物語も始動する。
- 早速にラスコーリニコフと警察とのやりとりが開始し
- 親友であるラズーミヒンや
- 医者のゾシーモフが登場し、その会話を通じ強盗殺人の物語を深めてゆく
- すかさず、この筋の上にルージンが登場し早々にラスコーリニコフとラズミーヒンと喧嘩となる。
- 警察官のザミョートフとの心理戦で警察対ラスコーリニコフの戦いも開始し、
- 一方でマルメラードフが馬車の事故(自殺?)にラスコーリニコフは遭遇し、一家に便宜を図ることで、マルメラードフ家破滅の物語も本格的に動き出す。
第三部ではドゥーニャと母プリヘーリヤの登場によって彼女の物語が急激に始動する。
- プリヘーリヤとドゥーニャが登場するがラスコーリニコフは彼女らを拒否し
- ラズーミヒンが彼女らに便宜を図るうちにドゥーニャに恋に落ちる。
- そして、彼女らがラスコーリニコフやラズーミヒンを交えて話す中で、ドゥーニャの物語が更に深まる。
- そこに葬儀の招待のためにソーニャが登場する。強盗殺人の筋も
- ポルフィーフィーとの論戦で最高に盛り上がり、
- 焦燥したラスコーリニコフは悪夢と「町人風の男」に悩む。
第四部では
- スヴィドリガイロフが突如登場し、
- ルージンとの決別も起こり、
- ラズーミヒンとドゥーニャの未来が企画されてゆき、ドゥーニャの筋は急展開する。
- ラスコーリニコフもソーニャを訪問し、彼女の信仰が描写される。
- その後、ポルフィーリーとの熾烈な論戦が描かれるが
- ニコライの自白でラスコーリニコフは逃れ、町人風の男の正体も明らかとなる。
第五部ではマルメラードフの葬式からカチェリーナの死までが描かれる。
- ルージンがレベジャーノミコフの前でソーニャに金を渡し
- カチェリーナが大家のアマリアと葬式だというのに喧嘩し
- ルージンがソーニャを策略に嵌めるがラスコーリニコフとレベジャーノミコフに救われる。
- ラスコーリニコフはソーニャに自白する。
- カチェリーナが発狂し橋で子供を踊らせ、最後に血を吐いて倒れ死んでしまう。
第六部は、
- ラスコーリニコフがラズーミヒンと話し
- ポルフィーリーが訪問し、自白を勧告する。
- ラスコーリニコフの罪をしるスヴィドリガイロフとの対話、
- スヴィドリガイロフとドゥーニャの対話(ドゥーニャは彼を拒みピストルを向ける)、
- スヴィドリガイロフの自殺、
- ラスコーリニコフと母とドゥーニャとの対話、
- ラスコーリニコフとソーニャとの対話を通じ、最終的に自白に至る。