2007-02-02

[書評] 若さを保つ〈からだ〉のバイブル / マイケル・F・ロイゼン, メフメト・C・オズ

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なんだか褒める書評ばかりってのも気がひけるが、残念ながらこの本もオススメの本である。なぜか? それはこの本が包括的かつ体系的に豊富な情報を実践的に提供しつつ、読み物としての面白さも備えているからである。

本書は、健康に関する「神話」「迷信」「誤解」を解きほぐし、整理された知識をつけたい人には最適の読み物といえる。451ページあるが、たらたらテレビの健康番組を眺めてるよりは効率的とも言えるだろう。

さて、題名に「バイブル」とあるが、実は原著では「取扱説明書」とある。そして、まさに取扱説明書と銘打つのにふさわしく、目次を見れば順番に身体についての項目が包括的かつ大系的に並んでいる(見易い目次には「心臓と動脈」「脳と神経システム」「骨、関節、筋肉」「肺」「消化器系」「生殖器」「感覚器官」「免疫系」「ホルモン」「ガン」と並んでいる)。索引も8ページあり簡単な医学用語に辞書代わりにも使えるだろう。

更に、この本は「読める」取説である。クイズもあればコラムもありイラストや表もバランスよく組み込んである。こうして健康に対する誤解を解いてくれる。じっくり読みたいタイプの人には話題がコロコロ変わるのは煩わしいと感じそうなものだが、やはり綺麗に話題やテーマを整理してあるというのは読み易いだろうし、内容を探しやすい。そして何より、飽きずに読める。

知識を与えてくれるだけではない。この本は「じゃあ、どうしたら?」という問いにちゃんと答えてくれる。これも本文に埋もれることなく項目が整理されている。


この本の長所を言うためには「健康本」の失敗例を挙げてみるのもいいもしれない。

まずよくあるネタが一発の本。「牛乳飲め」とか「肉ひかえろ」とか「ビタミンうんちゃらがイイ」とか、それ一つを書いている本。そういう本は、そうして健康が改善した人の体験談や、その効能がある理屈などを並べることが本の内容のほとんどであり、「じゃあ、どうすればいい」ということについては、ほんのわずかしか書かれない。ひどい場合、実践が書かれないものもある。そういう本は立ち読みでやるべきことだけを読んでおけばいい。

またネタが雑多につまっている本もある。一発ネタがごたっと並んでいて、まあやればいいのは分かるが、かといって片っぱしからやるわけにもいかない。知識も載っているが、結局、断片的なので記憶にのこらない。故にあまり役に立たない。

あるいは病気対策の本もある。これは、その病気の人には役に立つことがのっている。だから、その人には役立つかもしれない。しかし、こうしたタイプの本も結局は一発ネタになってるものも多いし、知識が雑多になってしまっている本も多い。それに、その病気じゃない人は手にも取らないだろう。

最後により専門的な本があるだろう。これも事典のようなものもあり、本気で調べる時にはとても役立つが、読み物として読むわけにはいかない。また、本当の専門書や論文は読むにも専門知識が必要だし、結局「じゃあ、どうしたら?」という問いには答えてはくれないだろう。幅広い知識がなければ、専門知識もいかせない。

この本は上のどれとも違う。私は、本書のような、きちんと包括的に身体や健康のことを説明してくれる入門書が欲しかった。今は、この本の知識をベースに更に自分の興味のある知識を補強するとよいと考えている。


若さを保つ〈からだ〉のバイブル

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