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「なぜ?」と問われた時に、「分からない」と答えるのは難しい。
「なぜ私の胃はこんなに痛いのか?」と問われれば、色々な理屈を持ち出してしまう。「昨日たべすぎたんじゃないか」「胃がもともと弱いんじゃないか」と色々と答えてしまう。
まあ胃が痛い程度なら、無責任に答えても問題はない。しかし、「なぜ、こんなことが起きたのか?」「なぜ、こんな悲惨なことが?」「なぜ、こんな苦しいことが?」といったような、本当に相手が不幸なときの問いには、ただ分からないと言うしかない。
その人は傷ついているだけだ。「申し訳ないが、分からない。とても残念なことだ」と言って、相手が何も悪くないことを示してあげて、世界の不条理に共に悲しむことしかできないのだろう。何も上手いことを言う必要はない。黙って耳を傾け隣に居ればよいではないか。
なぜ人は「分からない」と言うかわりに「日頃の心掛け」「先祖の祟り」「前世の因縁」などと、自分にとってすら意味不明の答えをして、人を苦しめてしまうのだろう。