2008-04-18

効果的活動のための4つの場

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どのようにしたら効果的な活動が実現できるのか? その鍵は「対話」が握ると僕は考えている。しかし、自由な対話は時に「場の空気」によって妨害される。それでは対話を促進するような「場」とはどういうものなのだろうか? いま思いつく4つの場をメモしておいた。

digi-log: 創造性とコミュニケーションには効率的ではなく効果的な活動が必要 では、創造とコミュニケーションでの成果をあげるための指針を書いた。効果的な活動に必要なことは対話を通じてヴィジョンを共有し、チャレンジを推奨しつつ無駄な「管理」をら、個人が作業に没頭するということであり、逆に、人が悪しき「効率主義」に陥るのは、人の評価を気にしてしまうからだと書いた。

効果的活動の柱となるのは対話である。対話こそがヴィジョンの創造とその共有を可能にする。対話こそが信頼を生み、管理の削減と、個人の試みや没頭を可能にする。対話はクリエーションやコミュニケーションにおける効果的活動に必要不可欠な、新しい価値の創造と共有、相互の信頼を生み出す根源となる。

ミーティングと個々の作業でも、対話は行われるように思える。しかし、それらは効果的に目標を達成しない。このことについて考えてみると、そもそもミーティングにも、それぞれの作業にも二つの性格があるからだということになる。全体として以下の4つの対話の場が必要となるように思う。

  1. ヴィジョン創造の場: 全体の物語が創発する場。個人と個人の創造性がぶつかる。試みが生まれてゆく。「これをすることに意味はあるのか」「目的は何か」「自分たちは何をしたいのか」が問われてゆく。問題解決の技術で書いたIに相当。
  2. ヴィジョン共有の場: ヴィジョンが共有され、個人の仕事の責任が明確となってゆく。試みは企画となる。メンバー間の信頼の調整も行われる。「どうすればいいのか」が問われつつ、不必要な管理が排除される。問題解決の技術で書いたIIに相当。
  3. 個人没頭の場: 信頼と責任に基づき、個人が作業に没頭する。自己裁量の枠内での試みが行われる。
  4. チームプレーの場: 集団で作業を行う。作業を通じてのヴィジョン共有や信頼向上が起こる。

上のように書いてしまえば何のことはない。しかし、現実的に「ヴィジョン創造の場」や「個人没頭の場」が確保されることは少ない。だから、うまくいっている職場には必ずと言ってよいほど、職場の外で、ヴィジョン創造のためにグラスを傾けるコミュニケーションの達人がいたり、個人没頭のために仕事を持ち帰る創造の達人がいる。多くの職場が、そうした隠れた少数の人に支えられている。しかし、往々にして「職場の外」で活動する彼らは通常の評価を得られないことも多い。

単純に言えば、いま欠けている場があれば、そうした場を確保すればよいということになるか。つまりバランスを取ることだろう。人間の関係には様々な対話の場が必要であり、ある状況で行われた対話が、他の状況での対話を促進する。必要な場を確保することがリーダーの役目ということになるのだろうか。